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[寄稿]『カメラを止めるな!』ファンガイド

  • 執筆者の写真: 萩野亮 / hagino ryo
    萩野亮 / hagino ryo
  • 2019年1月30日
  • 読了時間: 2分

更新日:2019年2月16日


関西の映画情報サイト「キネプレ」さん編集の小冊子「『カメラを止めるな!』ファンガイド」に「労力について」という題で作品評を寄せました。


あくまで小冊子とはいえ、表紙にこんなにでかでかと名前が載ったのははじめてです(笑)。「渾身」の出来ばえかどうかはわかりませんが、そこそこの、いやかなりのカロリーを使って2018年の日本映画最大の話題作といってよい『カメラを止めるな!』について書きました。


正直に書くと、劇場で『カメ止め』を見たさいには、この映画については何も書くことはないだろう、と思っていました。出来ばえも決してよいわけではないし、とくに目新しくもない。ところがいざ原稿依頼を受けて書き始めてみると、止まらない。結果、8000字という一本のレビューとしては長い文章になりました。


それがこの映画のほんらいのポテンシャルだったのだと思いますし、くわえてこの機会に特別に見せていただいた上田慎一郎監督の過去作(いずれも短篇)がとても興味ぶかかった。一本一本の作品が、というよりは、この監督が一貫して描いている「段取りの進行」への固執に、かなり感性をくすぐられるものがありました。文中でも上田監督の過去作については一節を割いています。


また『ラヂオの時間』についてもふれているのですが、客は入るし俳優も出たがるが、批評家はほとんど等閑視してきた「三谷幸喜」という作家を日本映画史にどう位置づければよいのかという課題もいただきました。「ユリイカ」に寄せた濱口竜介試論もそうだったのですが、わたしにはなかなか解決しがたい問題として「演劇」、ないしは「演劇性」というものがここでもやはり立ちはだかってくる。あるいは「俳優」とよばれる、この謎めいた存在。映画における演劇性の問題は、わたしがいまもっとも関心を寄せているもののひとつです。今年は舞台もいっぱい見たい。


巻末には上田慎一郎監督と田中泰延さんのトークの抄録も載っています。上田監督とわたしはほぼ同世代なので、かなり経てきた映画が近いというか、だって好きな映画が『マグノリア』に『パルプフィクション』に『ロックストック』なんて、まさにわたしが10代の終わりにシビれまくった作品なわけで、ここに『バッファロー66』なんて入っていた日にはもう無言で抱擁しあえる(笑)。


「『カメラを止めるな!』ファンガイド」は、「キネプレ」の編集長・森田和幸さんが店長をつとめるブックカフェバー「ワイルドバンチ」(大阪・天六)で取り扱っています。お近くのかたはぜひお手にとってご覧ください。ワイルドバンチ、めちゃ素敵な空間ですよ。



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©️2019 haginoryo.tokyo 

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